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丸尾焼窯元日記

熊本県天草市にある丸尾焼という窯元の窯元日記です。陶芸に興味のある方はチェックすると面白いかも・

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仕組み・・・システムは単なるツールだ。 2012年3月16日

 昨日はシステムのことを書いた。今日もシステムについて考えてみたいと思う。昨日の日記にはシステムを構築する時に最も重要なことは、システムを作ることによってどうなりたいのかと言うことを、明確に持つことが重要だと書いた。工房の製造を効率化したいと思うことによって、どう効率化するかを考えるようになる。闇雲にシステムを構築しようと思っても、その結果によってどういったことを期待するのかが決まっていないと、あまり効率的なシステムは出来ないと言うことを私はバックを考える事によって気付いたのだ。仕事場に関しては本質的な意味では何も考える事はない。製造するものを増やし、販売するものも増やしてゆくと、当然なことではあるが仕事場は上手く回転するようになる。工房の仕組みを考える時には、根本的なことは明確に決まっていて、明確に決まったことを目標に掲げながら、システム化に取り組んでいけば・・・何もしない時と比べると大きな成果が出てくるからだ。鞄についても色々考察して考えを進めた結果、私自身快適な環境を手に入れることが出来た。その結果についてはすぐに出てくるわけではないが、少し長い目で観ると大きな成果になって現れるだろうと、私は考えている。

 今日考えてみたいと思うことは、システムという単体のいわば閉鎖系の話ではない。今の私は様々な事をシステムという視点で捉えられないかと言うことを考え始めている。理由はこれから先の私がどうなりたいのかを、じっくりと考えるべき時期に来ていると思うからだ。幸いなことに工房のスタッフは息子達も含めてかなり仕事が出来るようになっている。去年の工房とは格段に違うものが作られ始めていて、彼らの仕事ぶりを観ていると、私が出しゃばる要素も次第に少なくなっているように見える。あと1年か2年すると、今よりももっと力が付いてくるはずだから、彼らに工房を任せられるのもそう遠くない将来に出来るようになると思う。勿論、今すぐというわけではないだろうが、私の目から観るとすでにそこの所までは十分に達しているように思える。私が先頭に立たなくても良い時がもうすぐそこまで訪れている。実際に私は現場の仕事を殆どしなくても良くなっていて、私が口を出すよりも彼らの自主性に任せた方が、仕事が捗るようになりつつあるのだ。そういった状況に工房はなりつつあり、私自身は工房をあと一段良くしようと思っているので、システム・・・仕事の進め方を含仕組みを考えているところなのだ。

 今の私の見立てでは、あと3年すれば・・・私が工房にいなくても問題なく仕事を進めていけるようになると思う。勿論これは最大値としてみたところの時間で、恐らくそれよりもっと短い時間で、工房は私から独立出来るようになると思うのだが、そのような見立てが面前に広がった今・・・改めて思うことは、私がいなくても十分に仕事が成り立っていく工房に対して、何をしていくべきなのかと言うことなのだ。つまり・・・いよいよ私にとって個と言うことを考える時期が到来しつつあるのではないか。社会というものに対して生産という対価で生活を営むという今までのあり方から、自分という存在を中心とした個の追求という時代へのシフト。工房にとっても私にとっても次の時代が訪れつつあるのではないかという思いが、私の中で日に日に成長しつつあるのだ。私はこのことを隠居するという表現で何度か窯元日記にも書いてきたが、それが夢物語ではなく、恐らくあと2,3年すれば確実にそういう時が到来するだろうと思い始めている。隠居とは良くできた日本のシステムで、仮想的にその人がいないということにして、仕事という営みを再構築させ、本当にいなくなった時に混乱を生じさせないという文化だと私は考えている。

 そうすることが一番だと思うのだが、やはりそういった状況を作り上げるためには、工房を上手く回転させるための仕組みを作らなければならない。仕組みとはつまりはシステムだろう。勿論、私が隠居すると言うことは息子達が最前線に立つと言うことであり、彼らが三本の矢になってお互いに助け合いながら、仕事を進めていく環境を作ることでもある。これから暫く時間を掛けて次の時代に対応出来るような、しかも、継続的に使い続けることが出来るようなシステムを考える事が、私の仕事なのかも知れないと思い始めている。仕組み・・・システムはただ一つだけ解決しても全体として上手く行くはずはない。複合的に幾つものシステムが絡み合って初めて、全体の力が出てくるのだと思う。私が現場にいることによって見落としていたことを、改めて検証しながら・・・・どうすればこの仕事場に一番マッチしたシステムを作り上げることが出来るのかを、じっくりと考えていきたいと思う。それは単に仕事と言うことだけではなく、人生とか・・・人が生きることの幸福を考える事でもあるように思う。システムは決して冷たいものではなく、暖かいものだと言うことを考えていきたいと思う。
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