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丸尾焼窯元日記

熊本県天草市にある丸尾焼という窯元の窯元日記です。陶芸に興味のある方はチェックすると面白いかも・

2010年08月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年10月

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熊本実験ショップ搬出

 熊本の実験ショップは一昨日終了したのだが、搬出を今日行った。今回のショップも色々勉強することがあり、工房として考えてみても、これからの展開を考える上で様々な情報を収集することが出来た。恐らくこれから先、陶芸界の状況は様々な変化が起こると私は考えている。今までの販売方法にあぐらをかいたままでは、この変化にはついて行けないのではないか。そう言う観点で、様々な場所で一時的な店を開いているわけだが、実験ショップと銘打って店を開いていると、その場所その場所の土地柄が伺え、少しずつではあるがどういう方向へ進んでいくべきなのかが、次第に明確になりつつある。今回の場所は熊本と言うことで、私の所にとってはホームグラウンドに近い場所だった。その一番近場の熊本で感じたのが、モノをすでに持っている人達にどのような提案が出来るのかと言うことだ。

 陶磁器というものは、殆どの場合・・・すでに家にある場合が殆どだ。朝家を出る時に飯碗を割った人が、偶然実験ショップの前を通りがかることなど、殆どあり得ない状況で、すでに焼き物を持っている人達が、簡単なことでは新しいモノを買わないと言うことを、思い知らされたりした。その意味ではやはり新しいモノをどれだけ作り上げることが出来るかが、重要なポイントになってくる。勿論、今作っている作品の需要が一気になくなると言うわけではないのだが、新しい何かを今の作品に加えていくことがとても重要なことだと思う。それが何なのかを模索していくことが次の展開につながるのだと思う。

 何もないスペースに10日間だけ新しい空間を作って、そして10日経てば去っていく。それはある意味ではサーカスのような出来事だと思う。昨日は毎日その通りを通っている人が、店が無くなっていることに気がつき驚いたのではないだろうか。大きな驚きではないけれど、小さく驚いてくれたのではないかと思ったりしている。何が良かったのか・・・何が悪かったのか。。。そのことをこれから検証して行かなければならない。今我々が取り組んでいることは、一見すると無駄なことのように思う人もいるかもしれないが、様々な試行錯誤を繰り返していかなければ、新しい成功は生まれてこないと思う。どうすれば次の展開が見えてくるのか、やはり地道にこういう事を繰り返していくことによってしか、道は開けてこないだろうと思う。

 長男が今回は様々な人と知り合いになれたと言っていた。熊本はとても近い場所ではあるが、案外知り合いが少ないと思ったらしい。結局人との繋がりが最も重要なのではないかと・・・彼は私に言ったが、私もそのことについては同感である。今回以降も・・・様々な人の繋がりを経て、展示会を開催したり、新しい販売の方法を見いだしたりしていくのかも知れない。案外、今私達がやっていることは、デジタルで無機化しつつある商いの方法に対して、アナログで有機的な焼き物屋としての、一つの回答なのかも知れないと思ったりしている。試行錯誤でしか切り開けない道があるはずだ。実験ショップの搬出にあたり・・・そんなことを考えている。
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