丸尾焼の総括 2011年12月31日
最後に工房の総括をしたい。今年は外にでることを考えた一年だった。特に前半はかなり外に出て行ったので、出入りが激しい一年になったと思う。外にでる回数が増えると、上手く行くところと上手く行かないところが出てくる。今年は上手く行かなかったと判断した場所が2カ所あった。一つは福岡で3月11日をまたいで開催した展示会。3月11日以降来客者がぴたりと止まった。もう一カ所は八代。前年に展示会を開催して良い雰囲気で終われたと安易に考えすぎていたと思う。今年は来客が前年の半分程度だった。ここは工房の仕事をそのまま持っていった方が良いと考えて展示会を行ったのだが、来場していただいたお客さんは、新しい作品が見たいとの声が多かった。この二つと鹿児島の展示会。ここも知名度のないところなのでどうだろうかと心配していたのだが、思ったよりも客足が伸びずに苦戦した。外にでるときにはやはり周到に準備したところと、きっかけがハッキリしたところでは結果がでている。工房にとって今最重点の年は福岡だ。ここの展示会は次第に数字を出し始めていて、私のところの仕事を支持してくれるお客さんが付き始めている。
展示会と言えば、今年はなんといっても伝統工芸館の展示会が一番良かったと思う。この展示会は日記にも何度も書いているが、これからの丸尾焼の指標になるような展示会だった。今までの展示会に風穴をあけるような企画になったので、この展示会がこれからの丸尾焼の指針になると思う。今年一番の収穫は伝統工芸館の展示会だったと思う。それにもう一つが島田美術館で行った親子4人の展示会だ。この展示会は我々丸尾焼の男たちの合同展示で、息子たちが熊本の陶芸のシーンに自らの作品を発表するという名刺代わりの展示会になった。まだまだ未熟な点も多かったが、それでも人様に作品を見てもらい、自らの作品を売るという機会を得たのだから、とても貴重な体験だったといえると思う。それ以外にも様々な展示会を開催し、そのたびにいろいろなことを考えさせられた。息子たちも含めてスタッフが、結局はこう言った地道なことを積み重ねていかなければならないのだと言うことを、実感してくれたことが今年の大きな成果だったように思う。もちろん天草大陶磁器展についても大きな収穫があった。一人でモノを作り人様に見ていただくことの難しさとすばらしさを若い人たちに身にしみて経験させることが出来たことがとても大きかったと思う。
工房の中では、それぞれに一年分仕事が成長したと思う。私の工房は若い人が多く。その点では未熟だといっても間違いではない。上手いと私が思うつく利他が一人もいないのだから、私が思うような作品を確実に作れるはずもない。しかし、今年の成長は自分たちが下手だと言うことがわかり始めたところにある。モノを作ることを楽しいと思う範囲での仕事の場合・・・自分たちが下手だと自覚するところまでは行きにくい。その点呼年は下手な人達が下手だと自らの手仕事に疑いを持ち始めたことが大きな収穫だと思う。下手なことに対する自覚はがっかりすることでも何でもない。なぜなら下手は上手くなるわけで・・・上手くなるための重要なステップが下手の自覚だからだ。下手という自覚のない人間に幾ら下手だと話をしても、本人に自覚がない間は決して上手になることはない。下手としての自覚が出来て始めて上手くなりたいとか、手を上げたいという欲望が出てくる。もちろん、プロとして考えれば、そこはスタート地点にほかならない。
あとの楽しみは息子たちが工房の先導を始めたことである。経験年数も既に工房内では長い方になってきているので、これから彼らにかかってくる比重は今までより格段に大きく重くなってくるだろう。工房が安定的な状態になるまでに、あと一年掛かるのか、二年掛かるのかは今のところハッキリ判らないが、来年の前半に工房の仕事が安定的になっても、何の不思議でもないくらいには彼らの潜在的な力はついていると思う。本当にあと一息でかなりな外年月焼き物を焼いてきた人達に引けを取らなくなるだけの経験値を、息子たちは持ち始めていると思う。今年の収穫は若いスタッフが自分たちに仕事が見え始めたということもあるが、私の息子たちが経験値の高い陶芸家に混じって、引けを取らない企画や構成が出来るようになったところだとも思ったりしている。いずれにしても、今年より来年の方が仕事が進むようになるだろうし、仕事のしきりも上手くなってゆくだろう。彼らだけで工房を切り盛りできるまでに来年のはじめの内になってくれると、それは望外の喜びだし、もう少し時間がかかったとしてあと1,2年でそこまではたどり着くだろうと言う確信が私の中に存在している。2011年末。丸尾焼に対しての私の総括で今年の窯元日記の終わりとしたい。
まじめな性格なのかもしれないが・・・今年も一日も書かさずに窯元日記を書き上げることが出来ました。それだけ平穏に過ごすことが出来たということかもしれません。読んでいただいている人達に感謝いたします。
みなさま良いお年を。金澤一弘
展示会と言えば、今年はなんといっても伝統工芸館の展示会が一番良かったと思う。この展示会は日記にも何度も書いているが、これからの丸尾焼の指標になるような展示会だった。今までの展示会に風穴をあけるような企画になったので、この展示会がこれからの丸尾焼の指針になると思う。今年一番の収穫は伝統工芸館の展示会だったと思う。それにもう一つが島田美術館で行った親子4人の展示会だ。この展示会は我々丸尾焼の男たちの合同展示で、息子たちが熊本の陶芸のシーンに自らの作品を発表するという名刺代わりの展示会になった。まだまだ未熟な点も多かったが、それでも人様に作品を見てもらい、自らの作品を売るという機会を得たのだから、とても貴重な体験だったといえると思う。それ以外にも様々な展示会を開催し、そのたびにいろいろなことを考えさせられた。息子たちも含めてスタッフが、結局はこう言った地道なことを積み重ねていかなければならないのだと言うことを、実感してくれたことが今年の大きな成果だったように思う。もちろん天草大陶磁器展についても大きな収穫があった。一人でモノを作り人様に見ていただくことの難しさとすばらしさを若い人たちに身にしみて経験させることが出来たことがとても大きかったと思う。
工房の中では、それぞれに一年分仕事が成長したと思う。私の工房は若い人が多く。その点では未熟だといっても間違いではない。上手いと私が思うつく利他が一人もいないのだから、私が思うような作品を確実に作れるはずもない。しかし、今年の成長は自分たちが下手だと言うことがわかり始めたところにある。モノを作ることを楽しいと思う範囲での仕事の場合・・・自分たちが下手だと自覚するところまでは行きにくい。その点呼年は下手な人達が下手だと自らの手仕事に疑いを持ち始めたことが大きな収穫だと思う。下手なことに対する自覚はがっかりすることでも何でもない。なぜなら下手は上手くなるわけで・・・上手くなるための重要なステップが下手の自覚だからだ。下手という自覚のない人間に幾ら下手だと話をしても、本人に自覚がない間は決して上手になることはない。下手としての自覚が出来て始めて上手くなりたいとか、手を上げたいという欲望が出てくる。もちろん、プロとして考えれば、そこはスタート地点にほかならない。
あとの楽しみは息子たちが工房の先導を始めたことである。経験年数も既に工房内では長い方になってきているので、これから彼らにかかってくる比重は今までより格段に大きく重くなってくるだろう。工房が安定的な状態になるまでに、あと一年掛かるのか、二年掛かるのかは今のところハッキリ判らないが、来年の前半に工房の仕事が安定的になっても、何の不思議でもないくらいには彼らの潜在的な力はついていると思う。本当にあと一息でかなりな外年月焼き物を焼いてきた人達に引けを取らなくなるだけの経験値を、息子たちは持ち始めていると思う。今年の収穫は若いスタッフが自分たちに仕事が見え始めたということもあるが、私の息子たちが経験値の高い陶芸家に混じって、引けを取らない企画や構成が出来るようになったところだとも思ったりしている。いずれにしても、今年より来年の方が仕事が進むようになるだろうし、仕事のしきりも上手くなってゆくだろう。彼らだけで工房を切り盛りできるまでに来年のはじめの内になってくれると、それは望外の喜びだし、もう少し時間がかかったとしてあと1,2年でそこまではたどり着くだろうと言う確信が私の中に存在している。2011年末。丸尾焼に対しての私の総括で今年の窯元日記の終わりとしたい。
まじめな性格なのかもしれないが・・・今年も一日も書かさずに窯元日記を書き上げることが出来ました。それだけ平穏に過ごすことが出来たということかもしれません。読んでいただいている人達に感謝いたします。
みなさま良いお年を。金澤一弘
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