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丸尾焼窯元日記

熊本県天草市にある丸尾焼という窯元の窯元日記です。陶芸に興味のある方はチェックすると面白いかも・

2014年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年05月

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近代陶芸をどうとらえるのか⑥

 手仕事は家内制手工業。いわゆる徒弟制度を背景に継続してきた仕事だ。このかたちが今急速に萎んでいる。徒弟制度は多数対1という指導形態だった。工房に複数の人がいて、複数の人が複眼的に一人を見るという形態が徒弟制度の基本だった。江戸時代・・・家内制手工業はすでに分業化が進んでいて、手でモノを作る行為が、これ以上ないところまで高められていた。そういう意味で言えば生産効率を上げるための分業化や創意工夫は、明治以降に西洋から導入したものでなく、江戸時代から日本には備わっていたと言えるだろう。

 現在の工房は生産を一人で行っているケースが多くなってきている。理由は賃金が高いために、技術の無い人を雇用することが難しくなってきているからだ。職業の永続性を担保するのは、仕事のシステムが健全であることが前提となる。技術は優れた個人が作り上げたものではなく、集団として切磋琢磨しながら作り上げられたものだからだ。そういう意味では徒弟制度は絶滅の危機に瀕していると言えるのかもしれない。

 私がこの道を志した35年前。窯元形式の作陶と個人作家形式の作陶の二つが焼き物を営む主流だった。もちろん窯元と個人作家が同居しているような仕事も存在したが、彼らの多くは、どちらかと言えば個人作家志望が多かった。私のところは複数の人間で仕事をしていたので、個人で仕事をするスタイルに個人的には違和感があった。モノを作る仕事は伝承芸というのが私の今でも変わらない基本的な考えだ。

 優れた技能集団がいて、そこに若い人が入り、徹底的に鍛えられて確かな技術が受け継がれていく。技術の根幹が個人ではなく集団で担保されるから、個人に何か起きても、技術は低下することなく受け継がれていくというのが、私の工藝に対する基本的な考え方だ。私はこのやり方こそが日本を近代工業国家に作り上げたのだと考えている。本田技研の初期やソニーの創業期など家内制手工業的要素で組織が出来上がっている。

つづく
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