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丸尾焼窯元日記

熊本県天草市にある丸尾焼という窯元の窯元日記です。陶芸に興味のある方はチェックすると面白いかも・

2014年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年05月

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土練り3年 轆轤10年 窯焚き一生

 焼き物作りに長く伝えられた言葉だ。江戸期は丁稚奉公から始まるケースが圧倒的だった。一般的には12歳くらいから入門する。現代では考えられないことだが、手に職を着ける仕事は始める年齢が早ければ早い方がいいと考えられていた。12歳で始めれば15歳の時には、土練りが出来るようになっている。勿論、この土練りという言葉には、雑用を覚えると言うニュアンスも含まれている。仕事場内の様々な仕事を覚えることはとても重要なことなのだ。仕事を辞書で調べると、しなければならないこと・・・とある。雑用とはまさしく仕事場でしなければならないこと全般を指す言葉だ。

 雑なことと言う意味ではなく、雑多なことと言う意味なのだが、誤解して使われる場合が多い。雑用は工房を運営するためには、決しておろそかにすることの出来ないことなのだ。毎日仕事を覚えていきながら、およそ1000日間で一通りの雑多なことが出来るようになる。その間一見無駄に見えるような行為も多いが、長い職人としての人生にとって、不可欠なことを覚える期間なのだ。土を練る技術の背後には、土を選る技術から、土を見分ける技術。あるいは整形しやすい土の硬さ。など多岐にわたる技術が必要なのだ。

 たとえば自分の付いている職人が何を作っているか。小物であれば柔らかめ。大物であれば硬めに練る必要がある。職人は土の硬さについて常に自分の気持ちを伝えるので、結果として適正な土の硬さを身を持って覚える。土練り3年と言われれる背景には、単に土だけではない作陶全般の大まかな知識を習得する期間というニュアンスが強い。釉掛けであったり、窯詰めであったり、窯焚きであったりと、工房の様々な技術を得る時間なのだ。

 12歳で入門すれば3年じっくり下仕事を覚えてもまだ15歳。この地点から7年間轆轤をたたき込んでも22歳。ちょうど今の時代では大学を卒業する年齢になる。この時点で12歳で入門した弟子は、従業年数が10年。ほぼ一人前の職人となっている。大まかに言えばその時点で嫁をもらって一家を構える。このシステムは陶芸の世界ではほとんど滅びてしまったが、和食の世界などではまだ残っている。さすがに12歳というわけにはいかなくなったが、中学卒業と同時に門をたたくという世界は、いくつかの職業では残っているシステムだ。
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