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丸尾焼窯元日記

熊本県天草市にある丸尾焼という窯元の窯元日記です。陶芸に興味のある方はチェックすると面白いかも・

2014年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年05月

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職人技術の変化

 陶芸という仕事の難しさの一つは、古い技術を背景とした仕事であるにも関わらず、常に今と向き合う必要のある仕事だと言うことだと考えている。勿論、どの仕事でも同じだとは思うが、陶芸の場合、日常生活で常用するモノがほとんどなので、今との結びつきを常に意識しておく必要があると思う。私が陶芸を始めた頃は、地方に於いては大家族から、中家族へのシフトが始まった頃だと思うが、都会では核家族化が顕著に現れ始めた頃だったと思う。

 大家族から中家族そこから・・・・核家族への変化は、家の狭さや生活空間の縮小となって現れてきた。30年前は家に備えてある飯碗が20個とか30個といった家庭も普通に存在していた。家族が多ければ招かれるお客さんも多くなる。2升炊きの炊飯器が個人の家にあったりした時代だ。その頃から比べ現在は家が小さくなったり、水屋が小さくなった。サイズの大きな焼物を置くスペースがないということを、お客さんがいうようになった。家自体が狭くなったので人を招かなくなる。人を招かないので使う器も家族分だけというケースも増えてきている。

 時代は核家族から個家族へとさらに変化が続いている。居住するスペースはさらに狭くなり、食事を作ること自体が少なっているという。日本人は米を食べなくなってきているといわれて久しい。実際に私の工房では、売れ筋の飯碗が以前は大サイズ中心だったのが、中サイズと小サイズにダウンサイズしている。一人暮らしの男性から良く聞かれるのは、ワンプレートですますことの出来る皿。最近は主婦の昼のアイテムとしても、ワンプレート皿は需要が高まっている。

 徒弟制度の修行について書いたが、轆轤を回して400個の湯飲みを作るという状況は、様変わりしている。現代で求められる技術は多品目少量生産。同じモノを沢山作るのではなく、沢山の種類を少量・・・短時間に作る技術だ。古式蒼然たる技術を獲得した職人は苦労しているケースが多い。時代の要請と・・・持てる技術に齟齬が生まれているからだ。工芸という生産技術は習得までに長い年月が必要とされる。結果として職人的な発想になりがちだ。数が重要ではなく多様性がポイントなのだろう。今と向き合う柔軟な対応が必要だと私が考える理由はこのあたりにある。
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