土台を作り上げることが産地化へ繋がり観光への道を切り開くのだ。2011年5月2日
ゆっくりと時間が流れる天草。そう言われることが多い。慌ただしく観光地を回るのも楽しいかも知れないが、ゆったりと流れる時間を楽しむゴールデンウィークも良いと思う。慌ただしく移動する旅の途中にノンビリと過ごす時間があって良いと思う。天草はそういう所なのだと改めて思っている。天草はのんびり過ごす所として、他の観光地と差別化を進めていけばいいと思う。今の時代は観光が過剰に産業化している。観光地と言われる所には人が群がり、そのなかでも名所と言われるような所には押すな押すなという状態になる。名高い場所には皆が行きたがるわけだが・・・天草はそういう観光地を目指すべきではないと思う。その場所へ行けば・・・ゆったりと時を過ごすことの出来るような場所を作れば、素晴らしい所になるのではないだろうか。すぐに結果は出ないかも知れないが・・・方向性として考えればそれが一番なのかも知れないと思う。外から来るであろう人のために自分たちの生き方を変える必要はないだろう。この土地の本質的な素質に感応出来る人がやってくればいいのではないか。改めてそんなことを考えていた。
私は陶芸の産地化へ向けた取り組みを10年以上続けている。産地形成への道のりは険しくて気が遠くなるような作業だが、冷徹に考察しても取り組みの成果が着実に出てきていると思う。産地形成は一見遠回りのようだが、観光的な視点で見ても本当は一番の近道だ。陶芸の産地化が進めば、生計を立てている陶芸家が沢山存在することになる。そこには嘘ではない本当の生活が存在していて、普通な意味で人の手で作られたモノが生み出されてくる。当然そこには本当のモノが存在するので、人が集まってくる。工業的な意味での大量生産ではないので、あまりジタバタしてモノを売る必要もない。本当のモノがある所の強さは・・・本来そこにある物を売り出すわけだから労力も何もない所から比べると少なくて済む。陶芸家は本来は発信体なので、発信する個が集積度を高めていくと・・・他の何処にもないような発信が出来るようになる。今の天草の陶磁器は、それが出来る直前の段階まで出来上がりつつある。その事を自覚しながら前へ進んでいかなければならないと思う。未来がみえている人は限られている。見えている存在だけが・・・前へ進めるのだと思う。その事を肝に銘じながら、進んでいきたいと思う。
本当のモノを沢山作り上げることが出来れば、人が沢山集まる所はすぐに出来上がる。私の中での本当は陶芸の産地だ。陶芸のメッカを作る事が出来れば、そこで仕事をしたいと思う人が集まってくる。そこに焼き物を作る人が集まってくれば、焼き物が好きな人は黙っていてもやってくる。各々が自分の信じる焼物を焼き続けるだけで、焼物に興味がある人がやってくるようになるのだ。そこで生産されるモノを求めて人が集うようになれば、焼き物を好きなお客さんを求めて作り手が集まってくる。物事の循環がよい方向へ進み始めると、良い方向へ連なる循環が生まれる。産地形成までのプロセスは確かに長い道のりだが・・・一旦出来上がると強固な土台が形成され、時間軸に耐えられる産業として地域の誇りになるものが生まれる。私の周りには現在8名もの20代のスタッフが一緒に働いている。それだけでも十分な兆しだと思うのだが、それ以外にも・・・私の周りには色々な兆しを感じる出来事が起こっていて、天草における産地化への道のりは希望の段階から、実現の段階へと進みつつある。本物を作り上げるためには時間が掛るが、一旦、本物が出来上がると強固な現実が出来る。進めなければならない産地化へ向けた取り組みの実りが、見え始めているのだから。
| 陶芸 | 12:37 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
天草
昨日は甥っ子の節句のため天草に帰ってました。確かに普通の休日くらいの車の量だったように感じます。他県ナンバーは多く見かけましたが、多分帰省客だったように思います。先日も友人からG.Wの天草の事を聞かれましたが、自信を持ってお勧めできませんでした。長い渋滞とお店の入りづらい状況を考えると、天草の良さである「時間のゆっくり感」と「人の温かさ」が感じられない気がしたからです。また何が催されてるのかも分かりませんでした。その友人にはまた別の機会に天草を堪能してもらおうと思っています。
この時期の天草を紹介するにあたり自分はまだ「良さ」に気づききれていません。新緑やドライブには良い時期だと思いますが、「旬のもの」や「この時期だから体験できる」といった付加価値をあまり感じ取れてません。このような事を多く見つけられていくと自信を持って天草観光を勧められる気がします。
また、せめて観光が見込まれる時期だけでも料理屋の器を地元のものにしてみたり、料理の説明と同じように食べる前にどこの物かなどを説明していただくと足を運ぼうという気になると思います。
自分も良く結婚式などのお祝いごとなどに買わせてもらっていますが、「使ってるよ。ありがとうね」と言われると本当に嬉しく思います。
| 荒木 啓太 | 2011/05/02 17:13 | URL |