丸尾焼窯元日記

熊本県天草市にある丸尾焼という窯元の窯元日記です。陶芸に興味のある方はチェックすると面白いかも・

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狩野家のこと、熊本の喜多流。

 能楽の話になったので、私のところに来ていただいている狩野了一師のことを書いてみたい。了一師は20年ほど前から、月に2回私の工房に来ていただいている喜多流の職分の能楽師だ。喜多流の若手のホープと言われている人で、熊本の能楽師、狩野琇鵬師の長男だ。了一師は中学卒業時に東京の喜多流家元に内弟子として入門。学習院に通いながら修行に明け暮れた人だ。ちなみに能楽師は学習院に進むことが多い。琇鵬師がこの7月に亡くなられたので、これからは東京と熊本を往復しながら、熊本の一門に稽古を付けることになりそうだ。琇鵬師はフランスのエクスプロバンスに能舞台を寄贈したり、ヨーロッパで能の公演を行ったりと、国内外で活躍され・・・誠実な人柄で多くの人から慕われた方だった。能楽に不調法な長男が師の仕舞を観た時、空間が歪んで観えたと表現したが、師の演能は幽幻というか・・・儚さを強く感じる舞だった。

 喜多流は能将軍と言われる程だった徳川秀忠、家光が愛した流派で、流派として将軍の意向により一流と定められた流派だ。それ以前は4流1座と言われ、喜多流は流派としては認められていなかった。従って、観世流のように大きな流派ではない。秀忠・家光が好んだことにより、全国の大名がこぞって召抱えようとしたが、小さな流派であったために多くの藩に職分を送ることができなかった。結果として大大名のところを中心として喜多流は存在している。流儀の基本は烈帛の気合。『喜多気張り過ぎ』と言われるほど、烈帛の気合を大事とする流派だ。おそらくこの流儀を徳川家光は好んだのだろう。謡の稽古を付けてもらって驚いたことは、謡の音の高低について全く何も言われなかったことだ。その人の持っている声に任せるということで、声の高い人は高い声で、声の低い人は低い声で謳えばよかった。もちろん、正式な能舞台では、地頭という人が後ろの中央に座っていて、その人が地謡のすべてを取り仕切るのだが、声の高低にはほとんど拘ることはない。

 熊本の喜多流は3つの家がある。友枝家。塩津家。それから狩野家だ。友枝家の当主昭世師は人間国宝。塩津家の当主も素晴らしい舞手だ。熊本にこれほどの能楽師が存在するにもかかわらず、熊本には能楽堂がない。熊本県の様々な人達に、私は能楽堂を作るべきだと話をするが、殆どの人はその意味が理解できていない。熊本は武士の文雅が色濃く残っているところだと、自賛する人が多いが・・・私に言わせると笑止千万。文化の本質を理解していない人たちの文化論ほど滑稽なものはない。能楽は日本の文化の根源をなしている舞楽だ。文化都市を目指すのであれば、熊本に能楽堂は是非必要だろう。熊本城の復元に沢山の資金が必要だと言われているが、熊本城と同じくらいの価値観が能楽には有るのではないか。肥後細川の武士としての系譜に連なるものとしての位置づけが、低いように思えてならない。

 能はプロとアマの技量差が一番大きい舞楽と言われている。能楽師が覚えている謡の数はおよそ200番だと言われている。物心ついた時から始めるから、それだけの数が頭に入るのだろう。昨日の日記に身一つと書いたが、身一つで凌ぎきるには、圧倒的な何かが必要だと思う。狩野家はその名が示すように本来は絵師の家だった。先々代が京都に狩野派の修行に行ったが、箸にも棒にも引っ掛からない画才だった・・・ということで、能楽師に転向したと聞いた。絵師は筆一本。能楽師は身一つ・・・そういう血筋なのかもしれないと思ったりする。我々素人は能楽師の成長を見るという楽しみがある。狩野了一師が能楽師としてどこまで辿り着くのか。見者の楽しみであったりする。熊本に根差した能楽の発展を心より願っている。
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| 雑記 | 14:47 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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| | 2018/01/20 02:59 | |















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